$649のOx7Fを実ティック10年検証|勝率95%の正体
目次
$649のOx7Fを実ティック10年で検証 — 本物のエッジ、しかし再現不能
これまで当サイトの検証シリーズでは、高PFを謳う人気EAの多くが実ティックや別フィードでは成績が消えることを報告してきました(ゴールドEA43本の一斉検証)。今回はその逆の事例です。
MQL5 Marketで販売されているゴールドEA「Ox7F」($649)を、Dukascopy実ティック100%で2016〜2025年の10年間バックテストしたところ、10年すべて黒字・全年プロフィットファクター1.74以上という結果になりました。フィードを変えても、ストレス年でも壊れない。これは当サイトが検証してきた中でも上位の頑健性です。
そのうえで本記事は、もう一歩踏み込みます。この成績はどこから来ているのかを、公開情報とライブシグナルの実約定から分解しました。結論を先に書くと、機構はほぼすべて解明できたにもかかわらず、成績の源泉である「いつ・どちらに建てるか」の判断だけは、価格データからは一切復元できませんでした。
本記事は当サイトが独自に実施した検証の報告です。当サイトはこの製品の販売者と提携関係になく、購入を推奨も否定もしません。公式画像・公式実績の転載は行っていません。
検証条件(完全開示)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | MQL5 Market製品「Ox7F」($649)の販売者バイナリ本体 |
| 期間 | 2016.01.01〜2025.12.31(10年・年別に分割実行) |
| 銘柄・時間足 | XAUUSD |
| フィード | Dukascopy実ティックヒストリー |
| モデル | Model=4(実ティック100%) |
| パラメータ | 既定値(ベンダー推奨setファイル未使用) |
| 補助データ | 公開ライブシグナルの決済済み133ポジション(2026-01-20〜07-17) |
薄いTPのスキャルピング型は1分足OHLCモデル(Model=1)だと過大評価されやすいため、本検証は最初から実ティックのみで行っています(この差については実ティックとOHLCの違いで解説しています)。
結果: 10年連続黒字・全年PF1.74以上
| 年 | PF | 年 | PF | |
|---|---|---|---|---|
| 2016 | 2.00 | 2021 | 6.44 | |
| 2017 | 2.40 | 2022 | 3.75 | |
| 2018 | 1.74 | 2023 | 12.55 | |
| 2019 | 2.66 | 2024 | 4.30 | |
| 2020 | 6.45 | 2025 | 1.92 |
コロナショックの2020年(PF6.45)、金利急変の2022年(PF3.75)といったストレス年でも崩れていません。グリッドやナンピンで含み損を先送りして黒字に見せているタイプではないことも確認しました。決済履歴をティック精度で追うと、勝ちトレードの最大含み損は中央値$2.52・最大でも$8.92で、$9のストップロスを超えた保有は1件もありません。損切りは実際に機能しています。
純益の絶対額は複利ロットで巨額になりますが、これは資金管理の産物なので、比較には使わずPFのみで評価しています。
機構の分解 — ここまでは分かった
ライブシグナルの実約定133件と、バイナリ本体の実約定を突き合わせた結果、動作構造はほぼ完全に判明しました。
| 要素 | 実測値 |
|---|---|
| 利確 | 固定 $3.60 (商品説明の「可変TP」は実態と異なる) |
| 損切り | 固定 $9.00 |
| リスクリワード | 0.4(TP3.6 : SL9) |
| 建玉 | 同方向3玉をほぼ同時発注(間隔中央値0秒)・ナンピンなし |
| 保有時間 | 中央値13分・最長56分 |
| ライブ口座の勝率 | 84.2% |
| バイナリ既定設定の勝率 | 95%(利確472回 / 損切り24回) |
リスクリワード0.4で成立させるには勝率71.4%が損益分岐点です。この製品はそこを大きく超える勝率で回している、というのがエッジの正体でした。含み損を耐えて取り返す仕組みは存在せず、単純に**「$9に触れる前に$3.60を取る精度」だけ**で勝っています。
なお、公開ライブシグナルはロンドン時間に限定した0.01ロット固定の保守設定で、バイナリ既定の24時間稼働・複利設定とは別物です。同じ製品でも設定次第で挙動が大きく変わる点は、購入検討時の注意点になります。
検証: その勝率は「指標」で再現できるのか
ここからが本題です。当サイトでは検証のため、判明した機構(利確$3.60/損切り$9.00/3玉同時/同一時刻発注)をそのまま実装した再現用EAを作成し、本家とまったく同じDukascopy実ティックで比較しました。以下の数値はすべて、この当サイト作成の再現実装による実測値です(製品本体の成績ではありません)。
方向判断のルールを総当たりで差し替え、2024年の実ティックで検証した結果がこちらです。
| 方向判断ルール | 勝率 | PF |
|---|---|---|
| H1移動平均22本との位置関係 | 66.7% | 0.81 |
| RSI > 50 | 66.9% | 0.82 |
| RSI < 50 | 67.9% | 0.86 |
| 前日始値との位置関係 | 68.3% | 0.87 |
| 直近H1足の方向 | 66.9% | 0.82 |
| M15移動平均50本 | 66.6% | 0.81 |
どのルールを使っても勝率67%前後で横並びになり、損益分岐点の71.4%に届かず全て負けます。さらにATR・モメンタム・時間帯によるフィルタを総当たりで追加しても、最高68.5%(PF0.88)止まりでした。同じ利確/損切り・同じフィード・同じ発注タイミングで、**本家95%に対して当サイトの再現実装は67%**です。
方向以外の候補も一つずつ潰しました。
- タイミングではない: 本家の第1玉の約60%は毎時ちょうど(:00:00)の発注で、当サイトの再現実装も同じ。タイミング別に勝率を分けても本家は95.4%と94.7%で差がありません。
- フィードの差でもない: 同一のDukascopyデータ上で、本家バイナリは90〜100%、再現実装は67%です。
- オーダーフローでもない: 2024年上半期のティックデータ2,126万件から売買方向の偏りを算出し、本家の建玉方向と照合したところ**一致率42〜50%(ほぼランダム)**でした。
- 機械学習でも届かない: 複数特徴量のモデルでも、未学習期間での方向的中率は62.9%止まり。
- 「いつ建てるか」も予測不能: 本家は毎時の発注機会のうち年間3.4%しか建てません。その選別を特徴量から判別しようとしても、的中精度2.9%とランダム以下でした。
この検証から言えること
Ox7Fのエッジは実在し、10年頑健です。これは実ティックで確認できた事実です。一方で、その勝率を生んでいる「いつ・どちらに建てるか」の判断は、当サイトがアクセスできるあらゆる価格データ(全時間足・ティック単位のオーダーフローを含む)のいずれの関数でもありませんでした。
これは購入検討者にとって、良い意味と悪い意味の両方を持ちます。
良い意味: 成績が「バックテストのカーブフィッティング」や「OHLCモデルの錯覚」ではないこと。多くのEAはここで脱落します。
注意すべき点:
- 利確$3.60/損切り$9.00という極端に薄いスキャルピングです。スプレッドと約定品質に対する感度が非常に高く、口座環境が変われば結果は変わりえます。当サイトの再現実装でも、スプレッドの広いフィードでは成績が消えました。
- 中身がブラックボックスであり、外部からは検証も推測もできません。なぜ勝っているのかを買い手が理解できないため、成績が悪化し始めたときに「一時的な不調」なのか「エッジの消滅」なのかを判断する材料がありません。
- リスクリワード0.4型は、勝率が71.4%を数ポイント割り込んだ瞬間に損益が反転します。勝率の余裕が薄い設計であることは理解しておくべきです。
- 公開ライブシグナルの設定(ロンドン限定・固定ロット)とバイナリ既定設定(24時間・複利)では挙動が別物です。どちらの数字を見ているのか区別が必要です。
本検証の限界
- 対象期間は2016〜2025年の10年、単一フィード(Dukascopy)・既定パラメータでの実測です。他ブローカーの環境では結果が変わりえます。
- 機構の分解はライブシグナルの決済済み133ポジションとバイナリの実約定に基づく推定であり、実際のソースコードを確認したものではありません。
- 再現実装による数値(勝率67%等)は当サイトが検証目的で作成した実装の成績であり、製品本体の成績ではありません。両者を混同しないでください。
まとめ
- Ox7F($649)は実ティック10年で全年黒字・全年PF1.74以上。当サイト検証済みEAの中でも頑健性は上位です。
- 機構は利確$3.60・損切り$9.00・3玉同時の高勝率スキャルで、リスクリワード0.4を勝率95%で成立させています。
- その勝率の源泉は、価格データからは復元できません。方向判断も参入日選別も、当サイトが試した全手法でランダム同然でした。エッジは実在するが、外部からは検証不能なブラックボックスの中にあります。
- 高勝率型EAを検討する際の判断枠組みは勝率99%EAの落とし穴でも整理しています。
当サイトの自社EAは、ロジックの公開・実ティック長期検証・証拠金ベースの最大ドローダウン開示を同一基準で行っています。検証手法は検証メソドロジー、実測値一覧はEAランキングをご覧ください。
表記・権利に関する注記
- 記事中のEA名称・販売者名は各権利者の商標または商品名です。本記事は比較・批評を目的とした記述的使用であり、いずれの販売者とも提携関係はありません。
- 本記事の数値はすべて当サイトの自測データです。公式画像・公式実績の転載はありません。機構分解および勝率67%等の数値は、当サイトが検証目的で作成した再現実装による実測であり、製品本体の成績ではありません。
- 記載内容に事実誤認がある場合はお問い合わせからご連絡ください。確認のうえ速やかに訂正します。元データ(レポート・約定履歴・設定)は保全済みです。
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