同じEAが実ティックとOHLCで正反対の結果になる理由 — バックテストの「モデル」で騙されない
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同じEAが実ティックとOHLCで正反対の結果になる理由
MT5のストラテジーテスターには、バックテストの「モデル」を選ぶ項目があります。「全ティック(実ティックに基づく)」と「1分足OHLC」。多くの人がここを気にせずに走らせ、出てきた数字を信じます。
しかし、このモデルの選択ひとつで、同じEA・同じ期間・同じ通貨の結果が、単に少し違うどころか符号が逆転することがあります。誰も「モデルを無視すると何が起きるか」を具体的に語らないので、実測した3つのケースをそのまま公開します。そして、どのEAがモデルに左右され、どのEAが左右されないかを見分ける法則をお伝えします。
ケース1:薄利のグリッドスキャルパー — OHLCは「重大な嘘」をつく
利確が1ポジションあたり約1.5ドルの、ゴールドのグリッドスキャルパーEA。
| モデル | プロフィットファクター | 結果 |
|---|---|---|
| 1分足OHLC | 2.46 | 優秀に見える |
| 全ティック(実ティック) | 0.488 | 口座が約65%減 |
同じコード、同じ期間です。これがノイズではなく**アーティファクト(見せかけ)**だと確信した理由は、取引回数が両モデルでほぼ同一だったこと。つまりモデルは違うチャンスを見つけていたのではなく、同じ取引を、実際には存在しなかった価格で約定させていたのです。
利確がバー内の値動き幅より薄いと、OHLCの補間は「実際には触れていない価格での約定」をタダで与えてしまいます。薄利・グリッド・スキャルピング系では、実ティックは必須で、OHLCの結果は無価値です。
ケース2:ATRストップのブレイクアウトEA — OHLCは逆方向に嘘をつく
意外に思われるかもしれませんが、嘘は常に楽観方向とは限りません。これが見落とされがちな半面です。
ATRストップ・ATR利確のゴールドブレイクアウトEA。
| モデル | 結果 |
|---|---|
| 1分足OHLC | 完全に破綻 |
| 全ティック(実ティック・2ブローカーの履歴) | プロフィットファクター約1.3で黒字 |
OHLCモデルは、その1分の中で高値と安値のどちらが先に触れられたかを推測しなければなりません。ストップと利確が同じ1分の値幅の中に両方あると、その推測が取引の勝敗を決めてしまう。推測を外し続ければ、本来は機能するシステムが死んで見えるのです。
ケース3:バー終値型のトレンドフォロー — 両モデルが一致する
エントリーは確定した(closed)バーの終値のみ、ハードストップはATRの数倍離れた位置、ATRトレーリングストップ、固定利確なし、同時に1ポジションのみ——このタイプは、両モデルでほぼ同じ結果になります。
USDJPY H1・実ティック・2017年1月〜2026年5月の実測:
- プロフィットファクター 1.50
- 最大有効ドローダウン 10.3%
- 取引 631回
- 勝率 34.5%
このロジックには、バーの内部の値動きに依存する部分が何もありません。だからモデルに間違えようがないのです。この一致自体が、頑健性の証拠になります。
見分ける法則
利確がバー内の値幅に対して薄いほど、バックテストを決めるのは「相場」ではなく「モデル」になる。
- 薄利・グリッド・スキャルピング(1分以内に建てて決済できるもの):実ティックは必須。OHLCの結果は捨ててよい。
- バー終値エントリー+広いATRストップ:モデルはほとんど影響しない。長い最適化はOHLCで高速に回し、勝ち残った設定を実ティックで確認すればよい(時間を大幅に節約できる)。
- ストップと利確が同じ1分バーに収まる:両モデルとも信用せず、約定を目視で確認する。
実務的な2つの帰結
-
モデルを明記していないバックテストは「結果」ではなく「絵」です。 そして、明記を省くことと、どちらのモデルを選んだかには相関があります。都合の良いモデルを選んだレポートほど、モデル名を書きません。
-
モデルを切り替えると結果が崩壊するシステムは、そもそもシステムではありません。 エッジは相場ではなく、モデルの側にあったということです。
自分で再現してみる
ケース3のEA(クローズドバーのDonchianブレイクアウト)は完全無料・ソース公開で配布しています。MT5のストラテジーテスターで、モデルを「全ティック(実ティックに基づく)」と「1分足OHLC」の両方で1回ずつ走らせて、結果を比べてみてください。バー終値型は両者がほぼ一致するはずです——それが健全なEAの見え方です。
Donchian Trend Engine(無料EA)の詳細
同じ「クローズドバー+ハードストップ+トレーリング」の規律を、実ティックで検証済みの製品として使いたい場合は、MEGAMAX DONCHIAN(USDJPY)、BITCOIN COMET(BTCUSD)、ATLAS(5市場分散)などがあります。いずれもハードストップ・ノーグリッド・ノーマーチンで、全製品の実データ検証を公開しています。
まとめ
- モデルの選択だけで、同じEAの成績が正反対になりうる
- 薄利・グリッド・スキャルは実ティック必須(OHLCは見せかけの約定を作る)
- バー終値型トレンドは両モデル一致=それ自体が頑健性の証拠
- モデルを書いていないバックテストは信用しない
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