MQL5のゴールドEA 441本を同条件でバックテストした統計
「ゴールドのEAは、ふつうどれくらい勝てるのか」。この問いには、個別の販売ページをいくら読んでも答えが出ません。そこで、MQL5マーケットで販売・配布されているXAUUSD(ゴールド)向けEAを、同じ条件で一斉にバックテストし、その分布を数えました。
対象は完走した441本です。個別の商品名は載せず、全体の分布だけを公開します。
検証の条件
全本を、次の同じ条件で回しました。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 期間 | 2015年1月2日〜2026年10月1日(約11.7年) |
| 銘柄 | XAUUSD |
| 初期資金 | 10,000ドル |
| モデル | MT5 テスターの「1分足OHLC」 |
| 価格データ | MetaQuotes の履歴データ |
| 入力値 | 各EAの初期設定のまま |
| 時間足 | 説明文に設計足の記載があればその足、なければ M15 |
| 実施時期 | 2026年10月6日〜10月28日 |
この条件で試したのは469本で、そのうち441本が最後まで完走しました。残りの28本は、時間切れ(22本)、ログの出力が多すぎて止まった(6本)ため、集計から外しています。1本のEAを複数の時間足で測った場合は、設計足と一致した結果を優先して1本1行にしています。
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結果の全体像
| 指標 | 下位25% | 中央値 | 上位25% |
|---|---|---|---|
| 純益(ドル) | −3,772 | +2,650 | +160,438 |
| プロフィットファクター | 0.70 | 1.21 | 2.23 |
| 最大ドローダウン | 3.4% | 13.9% | 87.5% |
| 取引数 | 514 | 2,100 | 5,751 |
中央値だけを見ると「11年で+2,650ドル、PF 1.21、最大ドローダウン14%」です。ただし上下の幅が非常に大きく、平均的なEAという姿はほとんど意味を持ちません。
損益の内訳
| 結果 | 本数 | 割合 |
|---|---|---|
| 黒字 | 264本 | 60% |
| うち資金が2倍以上(純益+1万ドル以上) | 172本 | 39% |
| 赤字(損失は資金の9割未満) | 74本 | 17% |
| 資金の9割以上を失った | 103本 | 23% |
黒字は6割ありますが、4本に1本は口座をほぼ使い切って終わっています。破綻するEAはごく一部の例外ではありません。
最大ドローダウンの分布
| 最大ドローダウン | 本数 |
|---|---|
| 2%未満 | 77本 |
| 2〜10% | 113本 |
| 10〜30% | 88本 |
| 30〜50% | 24本 |
| 50〜80% | 27本 |
| 80%以上 | 112本 |
分布は両端に偏っています。ドローダウンを小さく抑えるEAと、80%以上まで沈むEAに二分され、中間はむしろ少数です。ナンピンやマーチンゲールのように、普段は浅いのに一度崩れると深いタイプが後者に多く含まれます。
プロフィットファクターと取引数
| プロフィットファクター | 本数 | 取引数(11.7年) | 本数 | |
|---|---|---|---|---|
| 1未満 | 180本 | 100回未満 | 66本 | |
| 1〜1.3 | 53本 | 100〜1,000回 | 86本 | |
| 1.3〜2 | 73本 | 1,000〜1万回 | 225本 | |
| 2〜3 | 57本 | 1万回以上 | 64本 | |
| 3以上 | 78本 |
取引が100回未満のEAが66本あります。11年で100回に届かない成績は、偶然の振れが大きく、良くても悪くても判断材料になりません。
簡単なふるいをかけると
「黒字・プロフィットファクター1.3以上・最大ドローダウン30%未満・取引100回以上」という、ごく緩い条件だけで絞ると、残るのは**178本(40%)**です。半分以上はこの段階で落ちます。
「良すぎる」成績に注意
最大ドローダウンが2%未満なのに、純益が10万ドル(資金の10倍)を超えるEAが21本ありました。11年間ほとんど負けずに資金を何十倍、何百倍にした、という成績です。
ここで見逃せない事実があります。今回テストした441本のバイナリは、すべて2026年にビルドされていました。つまり検証期間の2015年〜2026年は、どのEAにとっても「答えを知った後の過去」です。過去にぴったり合わせた成績は、いくらでも美しく作れます。極端に良い数字ほど、この後付けの影響を疑うべきです。
ビルド日と実運用の実績で絞り込む話は、市販EAを800本以上、実ティックで検証して分かったことで詳しく書いています。
この統計の限界
- 1分足OHLCの結果です。実ティックより粗いモデルなので、スキャルピング系ほど実際より良く出ることがあります。
- 初期設定のままです。作者が推奨する設定ファイルや口座条件とは違う場合があります。
- 過去の検証です。上に書いたとおり、全本がビルド日より前の期間で測られており、将来の成績を示すものではありません。
- 完走しなかった28本を含めていないので、実際の「失敗率」はこの表より高い可能性があります。
この数字の使い方
EAを選ぶとき、販売ページの成績を、この分布のどこに位置するかで見てください。たとえば「最大ドローダウン1%で資金が100倍」という成績は、441本の中でも上位わずか数%の外れ値で、後付けの典型的な姿でもあります。反対に、プロフィットファクター1.2前後・最大ドローダウン10〜20%は、ごく普通の位置です。
成績の数字は、必ず最大ドローダウンと一緒に読んでください。純益だけを見ると、破綻寸前まで沈んだEAも好成績に見えてしまいます。私たちの検証方法は実ティック検証レポートで公開しています。
このページの数字を引用するときは、出典としてこのページへのリンクをお願いします。
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