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市販EAを800本以上、実ティックで検証して分かったこと

公開日: 2026-07-31読了目安: 約1分
本記事は公開日時点の情報です。EAの実績数値(PF・DD・年率)は運用や再検証で変動するため、最新値は各EAページでご確認ください。 最新のEA実績を見る

「このEA、バックテストで年率数千%なんですけど本物ですか?」という質問を、私たちは何度も受けてきました。答えを出すために、質問される側ではなく検証する側に回ることにしました。MQL5マーケットの人気ランキング上位から市販EAを800本以上ダウンロードし、片っ端から実ティックでバックテストにかけたのです。

この記事は、その検証の記録です。結論から言うと、生き残ったEAの本数は、販売ページの華やかさからは想像できないほど少なくなりました。

デモの数字を、実ティックに置き換える

多くの販売実績は、粗い足データや理想的なスプレッドで作られています。私たちは同じEAを、本物の値動きに近い実ティック(ティック単位の価格再現)で、実際に発生するスプレッドを乗せて回し直しました。検証はデモではなく、各年ごとに毎回同じ初期資金へリセットする方式にして、複利で膨らんだ見かけの成績を排除しています。

やり方を揃えただけで、結果はまるで別物になりました。人気ランキング上位ほどゴールド系のEAに集中しているのですが、そのゴールド勢の多くが、実ティックに置き換えた瞬間に最大ドローダウンが跳ね上がり、口座ごと溶けていったのです。

800本超が、こうしてふるい落とされた

段階を追って書きます。まず、そもそも正常に完走してプラスで終わったEAが、全体の2割程度しかありませんでした。残りは取引が発生しない、重すぎて時間切れになる、あるいはロード時にエラーで落ちる、といった理由で判定にすら至りませんでした。

次に、完走した中から「実運用に耐える安全性」の条件を課します。プロフィットファクターが一定以上で、ドローダウンが常識的な範囲に収まり、純益がプラスであること。この段階を通ったのが、全体を横断して数十本。ここまでで、人気商品の大半が脱落しました。

生き残った数字にも、二段目の罠がある

ここからが本題です。安全性の条件を通った生存EAには、まだ見抜くべき罠が残っていました。

製品バイナリの「ビルド日」を一本ずつ調べたのです。すると、好成績を出したEAはすべて、私たちの検証期間よりも後にビルドされていました。過去の答えを知った状態で過去にフィットさせれば、グラフはいくらでも美しくできます。これは実力の証明ではなく、単なる後付けです。

やっかいなのは、このビルド日が販売ページを見ても分からないことです。MQL5の商品ページが返す「更新日」は初回公開日の複製で、いま配布されているバージョンの日付ではありません。2017年に公開された製品でも、実際にダウンロードされるバイナリは2026年にコンパイルされたもの、ということが普通に起こります。私たちは製品ページの表示ではなく、バイナリそのものに埋め込まれたコンパイル時刻を読んで判定しました。ダウンロード済み1,146本を実測したところ、7割が2026年ビルドでした。

つまり「公開が古い製品なら安心」という選び方は成立しません。作者は売れている製品ほど手を入れ続けるので、古参の製品でも現在配布されているバイナリは新しいのです。ビルド日が検証期間より前で、本当の意味で「未知の期間で試された」と言えるEAだけを残した結果、候補はゼロになりました。

最後に残った本数

ビルド日の段階で候補がゼロになったので、念のため三つ目の条件も確認しました。「実運用の実績はあるのか」です。バックテストがどれだけ美しくても、実口座で長期間プラスを出し続けた記録がなければ、それは机上の数字にすぎません。

結果は同じで、こちらもゼロでした。実ティックの安全基準を通ったEAには、自分自身の長期ライブ実績を公開しているものが一本もなかったのです。

800本を超える市販EAを実ティックで検証し、ビルド日で後付けを除外し、最後に実運用の実績を求めた結果、三つの条件をすべて満たすものは一本も残りませんでした。派手なデモ成績を掲げる製品ほど、実運用の裏付けを持っていませんでした。

この検証から言えること

デモのバックテストは、EAを「落とす」ためには使えます。実ティックで口座が溶けるEA、ビルド日が検証期間より後のEAは、その時点で候補から外せます。しかし逆は成り立ちません。デモのバックテストがどれだけ優秀でも、それだけでは実運用で通用する証明にはならないのです。

だからこそ私たちは、自社のEAについては派手なデモ数字を掲げるのをやめ、実ティックの実測値だけを載せ、良い数字も悪い数字も全部公開する方針に切り替えました。検証の正当性はビルド日で担保し、実ティックで破綻するものは主力から外します。派手さより、長い期間を生き残ることを優先軸に置いています。

EAを選ぶとき、販売ページの数字は「落とす材料」として使ってください。本当に信じてよいのは、実ティックの実測値と、実口座で積み上がった実運用の記録だけです。私たちの実測ランキングはEA比較ページで公開しています。検証の考え方をさらに詳しく知りたい方は、実ティック検証レポートもあわせてご覧ください。

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