サーバータイムゾーンの違いが時間帯フィルタを壊す
目次
結論:時間帯フィルタは「どの時計で何時か」まで決めないと意味がない
時間帯フィルタ付きのEAで「ロンドン時間だけ取引する」と設定しても、ブローカーのサーバー時間がずれていれば、実際には1時間ずれた時間帯で取引します。原因の多くは、サーバー時間がGMT+2かGMT+3か、夏時間をいつ切り替えるかの違いです。
私たちは、時間帯フィルタを使うEAを入れる前に「そのEAが前提にしている時計」と「自分の口座の時計」が合っているかを確かめるよう勧めています。ずれは画面を見ているだけでは気づきにくく、成績が少しずつ悪くなる形でしか出てこないからです。
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なぜずれるのか
MT5の時刻は「サーバー時間」
MT5のチャートに出る時刻も、EAが TimeCurrent() で受け取る時刻も、ブローカーのサーバー時間です。日本時間でもGMTでもありません。そのため、EAに「8時〜16時」と書けば、それはサーバー時間の8時〜16時という意味になります。
GMT+2/+3は夏時間で切り替わる
多くのブローカーは、冬はGMT+2、夏はGMT+3にしています。ニューヨークの17時を日足の区切り(0時)に合わせるためで、この場合は米国の夏時間に合わせて切り替えます。一方で、欧州の夏時間に合わせて切り替える業者、一年中GMT+2のまま固定の業者、GMT+0の業者もあります。
米国と欧州では夏時間の開始日・終了日が違います。2026年の秋は、欧州が10月25日、米国が11月1日に夏時間を終えます。この1週間は、同じ「GMT+2/+3型」の業者どうしでもサーバー時間が1時間ずれます。春はずれる期間がもう少し長くなります。
よくあるずれ方
| 状況 | 起きること |
|---|---|
| EAはGMT+2/+3前提、口座はGMT+2固定 | 夏の間ずっと1時間早く判定する |
| 米国式と欧州式の切り替え日の違い | 春と秋の数週間だけ1時間ずれる |
| バックテストと実運用で業者が違う | 検証時と違う時間帯で取引する |
| 日本時間で考えて入力した | 夏と冬で日本時間との差が変わり、片方の季節だけ合う |
1時間のずれでも、ロンドンオープン直前の値動きを狙うEAなら、オープン前の静かな時間にエントリーすることになります。スプレッドが広がりやすい日足の区切りの前後を避けるフィルタなら、まさにその時間帯に取引してしまいます。
自動補正の考え方
方法1:GMTを基準にして変換する
TimeGMT() でGMTを取り、セッションをGMTで判定する方法です。リアルタイムでは素直に動きますが、MT5のストラテジーテスターでは TimeGMT() がサーバー時間と同じ値を返します。この方法だけだと、バックテストでは補正が効きません。
方法2:夏時間の規則を計算で持つ
「3月の第2日曜から11月の第1日曜までは+3」のように、日付から差分を計算する方法です。テスターでも同じように動くのが利点です。ただし、業者が米国式か欧州式か固定かを知っている必要があり、規則を間違えると補正したつもりでずらしてしまいます。
方法3:週明けの最初の足から推定する
週明けの最初のバーが何時に始まるかを見て、サーバーの差分を推定する方法です。業者ごとの設定を知らなくても使えますが、祝日や取引時間が特殊な週には推定を誤ることがあり、私たちは単独では使っていません。
どの方法にも抜けがあるので、実用的には「自動で推定し、手動の入力値で上書きできる」形にするのが無難だと考えています。
導入前のチェックリスト
- EAの説明書・パラメータで、時間帯がサーバー時間・GMT・日本時間のどれで書かれているか確認する
- 自分の口座のサーバー時間を、気配値表示の時刻とGMTを比べて確かめる(夏と冬の両方)
- その業者が米国式・欧州式・固定のどれで切り替えるかを、サポートや告知で確認する
- バックテストに使った業者と実運用の業者が同じかを確認する
- 夏時間の切り替え週に、EAのエントリー時刻をログで見る
業者ごとのサーバー時間の違いは FX業者比較、パラメータの入れ方は EA設定方法 も参考にしてください。
限界と注意
自動補正は万能ではありません。業者がサーバー時間の運用を予告なく変えることがありますし、過去のヒストリーがいつの時点の時計で記録されたかまでは、外から確かめられない場合もあります。その場合、補正を正しく入れても、バックテストの時間帯は正確に再現できません。
また、時間帯をずらすと成績が良くなる場合もあります。しかし、それは偶然かもしれません。ずれた設定のほうがバックテストで勝っていたからといって、それを採用するのはおすすめしません。カーブフィットと同じ問題になるからです。
さらに、時刻を正しく合わせても、そのセッションで戦略が勝てるかは別の問題です。時間帯フィルタは負ける時間帯を避けるための道具で、利益を保証するものではありません。
まとめ
- MT5の時刻はサーバー時間であり、業者によってGMT+2/+3・固定・GMT+0と違う
- 米国式と欧州式の夏時間の切り替え日の違いで、春と秋に1時間ずれる期間がある
TimeGMT()はテスターではサーバー時間と同じ値になるため、それだけでは検証時に補正できない- 自動推定と手動入力での上書きを組み合わせるのが現実的
- 導入前に「EAの時計」と「口座の時計」を夏・冬の両方で照らし合わせる
- 時刻が合っていても、そのセッションで勝てるとは限らない
ほかのMT5の運用ノウハウは EA・MT5ノウハウ にまとめています。
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