利益曲線の直線性R²は何を教えるか|滑らかすぎるEAの疑い方
目次
結論:R²は「滑らかさ」を測る指標で、「安全さ」は測れない
利益曲線(エクイティカーブ)がどれだけ直線に近いかは、決定係数R²で数値にできます。R²が1に近いほど、右肩上がりの直線に近い曲線です。
ただ、私たちはR²が高いことを、それだけで良いEAの証拠とは考えていません。むしろ直線に近すぎる曲線は、まず疑う理由になります。この記事では、R²の仕組み、疑うときの確認手順、R²では分からないことを順に説明します。
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R²の仕組み
何を計算しているのか
横軸に時間(または取引の順番)、縦軸に累積損益をとり、最小二乗法で直線を当てはめます。R²は「曲線の上下の動きのうち、この直線で説明できる割合」です。
- R²が1に近い:曲線がほぼ直線の上に乗っている
- R²が低い:途中で大きく凹んだり、横ばいの期間が長かったりする
計算前にやっておくこと
複利でロットが増えるEAは、曲線が指数関数のように反り上がります。そのまま直線を当てると、R²は不当に低く出ます。固定ロットの結果を使うか、残高の対数をとってから計算するのが前提です。
もう一つ大事なのが、残高曲線と有効証拠金曲線のどちらで測るかです。残高曲線は決済した取引しか記録しません。含み損を抱えたまま持ち続けるEAは、残高だけ見ると滑らかに見えます。
「滑らかすぎる」EAの疑い方
残高DDと有効DDの差を見る
私たちのEAで、この差が最もはっきり出ているのがGOLD KING v6です。バックテストでは残高DD7.45%に対して、有効DDは91.3%でした。残高曲線だけを見れば滑らかでも、決済前の含み損は口座をほぼ使い切る水準まで膨らんでいた、ということです。勝率83.1%、最大連勝44という数字も、滑らかな見た目を作る側に効いています。
このEAは攻撃型として公開しており、その前提で使う方向けです。ただ「曲線がきれいだから安全」とは読めない典型例として、ここで正直に挙げておきます。
確認チェックリスト
| 確認項目 | 疑うべき状態 | 理由 |
|---|---|---|
| 残高DDと有効DD | 有効DDが残高DDの何倍もある | 含み損を決済せずに持ち越している |
| 勝率と平均損益 | 勝率が高いのに平均損失が平均利益よりずっと大きい | 少数の大負けで直線が崩れる構造 |
| 負けた月の数 | 長期間ほぼ負け月がない | ナンピン・マーチンや過剰最適化の可能性 |
| ロット推移 | 負けの後にロットが増える | 曲線をならすための倍賭け |
| 検証データ | 実ティックでない、期間が短い | 約定の甘さで直線に見えている可能性 |
| 期間外の結果 | 最適化期間の外で傾きが変わる | カーブフィットの兆候 |
他の指標が「良すぎる」ときも同じ
R²に限らず、良すぎる指標は計算の前提から疑います。たとえばGOLD TRIPWIREのバックテストではシャープ94.75という値が出ていますが、私たちはこれを実力の大きさとしては扱っていません。保有時間の短いEAは、計算の区切り方によって値が極端に出ることがあるためです。PFや最大連敗など、他の指標と合わせて読んでください。各EAの数値は全EAの実測ランキングで比較できます。
R²の限界と注意
- 傾きは分からない:ほぼ横ばいの曲線でも、ばらつきが小さければR²は高く出ます。利益の大きさはR²とは別に見る必要があります。
- 低いR²が悪いとは限らない:トレンドフォロー型は、横ばいと急な上昇を繰り返す階段状の曲線になりやすいです。DONCHIAN ENGINEのバックテストは勝率34.5%、最大連敗11で、なめらかな直線にはなりません。それでも、この型のEAとしては想定どおりの形です。
- サンプルが少ないと当てにならない:取引数が少ない、または期間が短いと、偶然きれいに並んだだけでもR²は高くなります。
- 過去の形は将来を保証しない:R²はあくまで過去の曲線の形を表す数字です。
私たちは現時点で、各EAのR²を公式の指標としては公開していません。上の限界があるので、単独の数値として出すと誤解を招くと考えているからです。
フォワードについても書いておきます。数字は10月24日時点のものです。GOLD KINGのExnessデモ口座でのフォワードテストは、損益率17.13%、DD4.6%、PF3.75、136取引でした。これは実口座の成績ではありません。また期間が短すぎて、曲線の直線性を語れる段階ではありません。
まとめ
- R²は曲線の滑らかさを数値にする指標で、安全性や利益の大きさは測れない
- 複利の結果は固定ロットか対数に直してから計算する
- 残高曲線だけで測ると含み損が隠れる。有効DDとの差を必ず見る
- 直線に近すぎる曲線は、ナンピン・倍賭け・過剰最適化・データ品質を疑う
- トレンドフォロー型では、R²が低めでも設計どおりのことがある
- 指標の読み方はEA・MT5ノウハウにもまとめています
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