ナンピンEAの鉄則8か条 — 「破産前提」で設計する
勝率は高い。だから危ない。
ナンピン(グリッド)EAは高い勝率と引き換えに、まれに口座全体を失う形をしています。勝率90%は「10回に1回負ける」ではなく、「負けた1回で、それまでの利益と元本をまとめて持っていかれる」という意味です。ここでは勝ち方ではなく、どこで死ぬかをあらかじめ決めるための鉄則をまとめます。
📋運用前に決めておく8つのこと
1. 失ってよい金額だけを入れる
ナンピンEAの口座は「いつか0になるもの」として扱います。生活費・投資の主軸資金は入れない。入れた瞬間に、正しい判断ができなくなります。
2. ロット倍率は1.5倍を上限にする
倍率は等比級数なので、2.0倍にした瞬間に必要証拠金が跳ね上がります。同じ回数を耐えるのに必要な資金が桁で変わるため、倍率は「耐えられる回数」を直接決めるつまみです。
3. ナンピン回数に上限を置く
無制限のナンピンは「損切りしない」と同義です。MaxNanpinCount のような深度制限を必ず有効にし、上限に達したら建て増しを止める設定にします。
4. 証拠金維持率の緊急閉鎖を必ず入れる
強制ロスカットはブローカー側の都合で執行され、価格も選べません。自分で決めた維持率(例: 200%)で先に閉じる仕組みを入れておくと、損失の大きさを自分で決められます。
5. 利益は貯めずに出金する
口座に利益を残すと、EAはその分だけ大きなロットを許容します。含み益が「次の破綻の燃料」になるので、定期的に抜いて口座残高を一定に保つ運用が前提です。
6. 1口座1EA・1通貨ペアにする
同じ口座に複数のナンピンEAを入れると、片方の含み損がもう片方の証拠金を食い、無関係なはずのポジションまで一緒に飛びます。分けておけば被害は1口座で止まります。
7. 相場の状態でEAを止める判断を用意する
ナンピンが壊れるのは、一方向に走り続ける相場です。レジームフィルタを持つEAはそれを内蔵していますが、無いEAは重要指標や急変時に手で止める運用ルールを先に決めておきます。
8. 破綻したときの再開条件を先に書く
「飛んだら入金して続ける」は最も高くつく判断です。再開するのか、パラメータを変えるのか、やめるのかを、冷静なうちに紙に書いておきます。
口座を用意してから稼働までの手順
- 失ってよい金額を決める。ここが全ての前提。
- その金額だけを入れた専用口座を作る(既存口座と混ぜない)。
- VPSを用意する。自宅PCの再起動や回線断は、ナンピン中は致命傷になる。
- デモ口座で1〜2週間動かし、想定どおりに建て増し・決済するかを目視で確認する。
- InitialLot を最小(0.01)にして本番投入する。最初から増やさない。
- 証拠金維持率の緊急閉鎖とナンピン回数上限が有効になっているかを再確認する。
- 利益が出たらその都度出金し、口座残高を初期額に戻す。
- 月に一度、最大含み損を記録する。想定より深ければロットを下げる。
FXEA365 が公開しているナンピンEA
EURJPY ナンピン KAMIKAZE
主力EURJPY / 加重平均ナンピン
逆行したポジションに建て増しして平均建値を寄せる、最も素直な形。深度制限と証拠金の緊急閉鎖で終わり方を決めます。
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AUDUSD ナンピン KAMIKAZE
主力AUDUSD H1 / 加重平均ナンピン
EURJPY 版と同じ考え方をレンジ寄りの通貨ペアに当てたもの。推奨は LotMultiplier 1.5倍・MaxNanpinCount 10回。
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GOLD KAMIKAZE ナンピンEA
安全型XAUUSD M5 / グリッド
損切り・証拠金ストップ・下降レジームの凍結フィルタを内蔵した、このカテゴリでは保守的な設計。
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GOLD ヘッジ回復ナンピン (HEDGE_RECOVERY)
独自ロジックXAUUSD H1 / ヘッジ回復
建値を平均化せず、いったん損失を確定してから逆方向にロットを広げて取り返す型。他の4本とは損失の出し方が違います。
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BITCOIN KAMIKAZE ナンピン
実験的BTCUSD M5 / グリッド
改善途中の実験的EA。ランキングには載せていません。値動きが大きい銘柄なので、他の4本より前提が厳しくなります。
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5本の構造比較
| EA | 対象 | ロジック型 | 終わり方 | 位置づけ |
|---|---|---|---|---|
| EURJPY KAMIKAZE | EURJPY | 加重平均 | 深度制限 + 緊急閉鎖 | 主力 |
| AUDUSD KAMIKAZE | AUDUSD | 加重平均 | 深度制限 + 緊急閉鎖 | 主力 |
| GOLD KAMIKAZE | XAUUSD | グリッド | 損切り + 証拠金ストップ | 安全型 |
| GOLD HEDGE_RECOVERY | XAUUSD | ヘッジ回復 | 損失確定 → 逆張り回復 | 独自ロジック |
| BITCOIN KAMIKAZE | BTCUSD | グリッド | 損切り + 証拠金ストップ | 実験的 (ランキング非掲載) |
数字で見る: なぜロット倍率が全てなのか
ナンピンの必要資金は等比級数で増えます。初期ロット L、倍率 r で n 回積んだときの合計ロットは L×(rⁿ−1)/(r−1)、最後の1回だけで L×rⁿ⁻¹ です。
L=0.01 / r=1.5 / n=10 → 合計 1.13ロット(初期の113倍)・最後の1回 0.38ロット
L=0.01 / r=2.0 / n=8 → 合計 2.55ロット(初期の255倍)・最後の1回 1.28ロット
倍率を1.5から2.0にすると、回数を10回から8回に減らしてもなお必要資金は2倍以上になります。「あと少し耐えたい」で倍率を上げるのは、耐える力を減らす操作です。
だから鉄則2で倍率を、鉄則3で回数を先に決めます。この2つが決まった時点で、その口座が耐えられる値幅は算数で決まります。相場観の問題ではありません。
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- EA一覧・ランキングナンピン以外の型も含めた全EA
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- VPSの選び方
- 対応ブローカー
最後に
ナンピンEAは、勝率が高いことと安全であることが一致しない数少ない道具です。ここに書いた8つは「利益を増やす方法」ではなく「損失の大きさを自分で決める方法」です。失ってよい金額だけを入れる——これが守れているなら、残りの7つは調整の話になります。守れていないなら、他の7つを完璧にしても意味がありません。