パラメータは高原で選ぶ|1点ピークを避ける最適化
目次
結論:最高成績の1点ではなく、崩れない範囲の真ん中を選ぶ
最適化の結果を成績順に並べて、いちばん上の行を採用する。これがカーブフィットへの最短経路だと私たちは考えています。
私たちが見るのは最高値ではありません。最適値の周辺で成績が崩れないかどうかです。パラメータを少しずらしても成績がなだらかに保たれる範囲を「プラトー(高原)」と呼び、その中央付近の値を採用します。最高成績の点より数字は見劣りしますが、それで構わないという立場です。
なぜ1点ピークは危ないのか
ピークは「偶然の当たり」を含んでいる
最適化は、数百から数千の組み合わせの中から過去データに最もよく合ったものを探す作業です。試行回数が多いほど、たまたま数回の大きな勝ちトレードを拾った組み合わせが上位に入ります。
隣の値にずらしただけで成績が大きく落ちるなら、その成績は戦略の優位性というより、特定の数トレードに依存している可能性が高いと見ます。
相場は最適化した期間と同じ形では来ない
将来の相場は、ボラティリティも値動きの周期も過去と少しずつずれます。これは、パラメータのほうが少しずれた状態で運用するのと似た状況です。
周辺が崩れないパラメータなら、多少のずれを吸収できる余地があります。尖ったピークにはその余地がありません。
中央値を採用する理由
プラトーの端を選ぶと、片側はすぐ崖になります。中央なら、どちらの方向にずれてもまだ高原の上に残れます。
選んでいるのは成績の高さではなく、崩れるまでの距離です。
| 見るポイント | 1点ピーク型 | プラトー型 |
|---|---|---|
| 隣の値にずらしたとき | 成績が急落する | ほぼ変わらない |
| 上位結果の並び方 | 値が飛び飛びに散らばる | 近い値がまとまって並ぶ |
| 取引数の変化 | 大きく増減する | なだらかに変わる |
| 採用する値 | 最高成績の点(非推奨) | 範囲の中央付近 |
確認手順:MT5で周辺の崩れを見る
チェックリスト
- 刻みを粗くしすぎない:ステップが粗いと高原か孤立点かを区別できません。有望な範囲が見えたら、その周辺だけ刻みを細かくして再実行します。
- 2つのパラメータを選んで2次元表示にする:MT5の最適化結果は面として表示できます。濃い色が面で広がっていればプラトー、1マスだけ濃ければピークです。
- PFだけで判断しない:取引数とドローダウンも隣同士で見比べます。PFが保たれていても取引数が急減していれば、別の戦略に変わっている疑いがあります。
- 範囲の中央を選び、最高値との差を記録する:どれだけ成績を譲ったかを残しておくと、後から判断を検証できます。
- 最適化に使っていない期間で確かめる:プラトーは同じデータの中での話にすぎません。期間外でも形が保たれるかは別に確認します。
遺伝的アルゴリズムを使う場合は注意が必要です。探索が有望な領域に集中するため、周辺が十分に試されないまま終わることがあります。周辺の確認は、範囲を絞った完全探索でやり直すほうが確実です。
MT5の基本操作はEA・MT5ノウハウにまとめています。
利用者の立場でできること
配布されているEAでも、同じ確認はできます。主要なパラメータを初期値から前後に少しずつ動かしてバックテストし、成績が急に崩れないかを見るだけです。
例えばDONCHIAN ENGINEは、バックテストでPF1.5・631取引・検証9.4年という実測値です。上位版のMEGAMAX DONCHIANは、同じくバックテストでPF1.55・629取引です。
ただし、ここで正直に書いておくべきことがあります。これらは採用したパラメータ1点での結果であり、この数字だけでは周辺が高原かどうかは分かりません。派手なPFではないことは、プラトーの証明にはなりません。パラメータを動かして確かめる作業は、公開された数字では代用できないのです。
各EAのバックテスト実測値は実測ランキングで一覧できます。
限界と注意
- プラトーは将来の利益を保証しません。 広い高原に見えても、同じ過去データの上での安定性にすぎません。相場の性質が変われば、高原ごと沈むことがあります。
- 「どこまでが高原か」の線引きは主観です。 許容する成績低下の幅を後から都合よく決めれば、それも一種のカーブフィットになります。基準は最適化の前に決めておくべきです。
- パラメータが多いと確認しきれません。 2次元の面で見られるのは2つまでです。3つ以上が絡み合う崩れ方は見落とす可能性があります。
- 取引数が少ないと高原の形そのものが信用できません。 数回のトレードで面の色が変わるためです。
- 私たち自身、この方法で十分だとは言い切れません。 デモ口座でのフォワードテストでは、損益がマイナスで推移しているEAが複数あります。プラトーを意識して選んだパラメータでも、負ける局面は避けられていません。
まとめ
- 最適化では最高成績の1点ではなく、周辺が崩れない範囲を探す
- 採用するのはプラトーの中央付近。成績の高さより、崩れるまでの距離を取る
- PFだけでなく、取引数とドローダウンも隣同士で見比べる
- 遺伝的アルゴリズムの結果は、周辺を完全探索で確認し直す
- プラトーは過去データ上の安定性であり、将来の成績を約束するものではない
- 公開された1点の数字からは、高原かどうかは判断できない。自分で動かして確かめる
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