同じEA・同じ期間で結果が再現しないときに疑う5箇所
「公開されている成績と、自分で回したバックテストが合わない」。配布しているEAについて、私たちに届く問い合わせの中でも多いものです。
先に結論を書きます。同じEAを同じ期間でテストしても、環境が1つでも違えば結果はずれます。 原因の多くは EA 本体ではなく、テストする側の条件の違いです。疑う順番は、だいたい次の5箇所になります。
- サーバー時刻とタイムゾーン
- 銘柄仕様
- スワップ
- ヒストリーデータ
- モデル種別(ティック生成方式)
ただし、5箇所をそろえても完全に一致するとは限りません。この点は後半の「限界」で正直に書きます。
なぜ「同じEA」でも結果が変わるのか
EAは、渡された価格と銘柄情報をもとに判断する機械です。入力が少しでも違えば、エントリーの瞬間がずれます。最初の1トレードがずれると、その後の資金量・ロット・ポジション状況が連鎖して変わり、数年分のテストでは最終成績が大きく違って見えることがあります。
再現性の問題は「どこか1箇所の小さな差が、時間とともに増幅される」問題だと考えると分かりやすいと思います。
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疑うべき5箇所
1. サーバー時刻とタイムゾーン
MT5の時刻は、パソコンの時計ではなくブローカーのサーバー時刻です。サーバー時刻は業者によって違い、夏時間で切り替わる業者もあれば、切り替わらない業者もあります。
影響が大きいのは次のようなEAです。
- 「東京時間だけ」「NY時間は除外」など、時間帯フィルターを持つEA
- 日足の始値・高値・安値を基準にするEA(日足の区切り時刻が業者ごとに違う)
- 週明けや金曜クローズ前に特別な処理をするEA
日曜に短い日足ができる業者では、日足の本数そのものが変わります。日足ベースのブレイクアウト系EAなら、これだけで別物の結果になることもあります。
2. 銘柄仕様
同じ「XAUUSD」という名前でも、中身が同じとは限りません。仕様ウィンドウで次の項目を確認してください。
- 桁数(小数点以下の桁)とポイントの大きさ
- 契約サイズ
- 最小ロット・ロットの刻み
- ストップレベル(指値・逆指値を置ける最小距離)
- 証拠金の計算方式
桁数が違うと、「何ポイント」で指定した損切り幅が実際には10倍の差になる場合があります。ストップレベルが広い業者では、狭い損切りの注文がそもそも通らないこともあります。
3. スワップ
MT5のテスターは、テストを実行した時点の銘柄設定のスワップ値を全期間に当てはめて計算します。過去の実際のスワップ推移ではありません。そのため、同じ業者でもテストした日が違えば結果が変わることがあります。
- 保有時間が長いEAほど影響が大きい
- 3日分のスワップがつく曜日は業者によって違う
- スワップがない口座タイプ(スワップフリー)では別の手数料がかかる場合がある
数日単位で保有するタイプのEAでは、スワップの差が損益の差としてはっきり出ることがあります。
4. ヒストリーデータ
テスターが使う価格データは、接続しているブローカーのサーバーからダウンロードされたものです。業者ごとに、データの開始時期・欠損・ティックの密度が違います。
- テスト期間の最初のほうでデータがそろっていない
- ダウンロードが途中で、2回目のテストで結果が変わる
- 同じ業者でも、サーバー側のデータ更新で後から結果が変わる
ログタブに「データ同期」や「ヒストリー欠損」の記録が出ていないかは、必ず見ておきたいところです。
5. モデル種別
「始値のみ」「1分足OHLC」「全ティック」「実ティックに基づいたすべてのティック」のどれを選んだかで、同じEAでも結果がまったく変わります。損切り・利確が近いEAほど、ティックの作り方に敏感です。
あわせて確認したいのが次の2つです。
- スプレッド設定: 「現在のスプレッド」を選ぶと、テストした時間帯のスプレッドで固定されます。週末や早朝に回すと広いスプレッドでテストしてしまうことがあります
- 約定遅延の設定: 遅延ありかなしかで、短期売買のEAは結果が分かれます
再現性チェックリスト
公開成績と比べるときは、次の表を上から順に埋めていくと原因を絞り込みやすくなります。
| 確認項目 | どこで見るか | 影響が出やすいEA |
|---|---|---|
| サーバー時刻・夏時間 | 気配値の時刻表示、業者の案内 | 時間帯フィルター・日足基準 |
| 桁数・契約サイズ | 銘柄の仕様ウィンドウ | ポイント指定の損切りを使うEA |
| ストップレベル | 銘柄の仕様ウィンドウ | 損切り幅が狭いEA |
| スワップ値・3日分の曜日 | 銘柄の仕様ウィンドウ | 長期保有EA |
| ヒストリーの開始・欠損 | テスターのログタブ | 長期間テスト全般 |
| モデル種別 | テスター設定 | 短期売買・ナンピン系 |
| スプレッド・遅延 | テスター設定 | スキャルピング系 |
| 口座通貨・初期資金・レバレッジ | テスター設定 | 複利でロットが変わるEA |
| 入力パラメータ | テスターの入力タブ | 全EA |
最後の「入力パラメータ」は意外と見落とされます。前回のテストで変えた値が残ったままになっていないか、毎回確認してください。
MT5の基本設定に不安がある場合は、MT5セットアップの手順から見直すのが近道です。
限界と注意
ここは都合の悪い話になります。
- 5箇所をすべてそろえても、別の業者のデータでは完全一致しないことがあります。 ティックそのものが業者ごとに違うためで、これはテストする側では解決できません
- 私たちが公開しているバックテストの数値も、特定の業者・特定の時点のデータで計測したものです。お使いの環境で同じ数字が出ることを保証するものではありません
- 「どの差がどれだけ効いているか」を正確に切り分けられないケースもあります。差が出たら、項目を1つずつ変えてテストし直すしか方法がありません
- バックテストがそろったとしても、それは過去データでの検証にすぎません。将来の成績を約束するものではありません
逆に言えば、業者を変えても結果が大きく崩れないEAのほうが信頼しやすいとも言えます。複数の業者でテストして比べるのは、手間はかかりますが有効な確認方法です。業者ごとの仕様の違いはFX業者比較にまとめています。
まとめ
- 同じEA・同じ期間でも、環境の差で結果はずれる。原因はEA本体ではなくテスト条件にあることが多い
- 疑う順番は「サーバー時刻・銘柄仕様・スワップ・ヒストリー・モデル種別」
- スワップは「テストした時点の値」が全期間に使われる点に注意
- スプレッド設定・遅延・入力パラメータの残りも見落としやすい
- すべてそろえても、業者が違えば完全一致しないことがある
- 業者を変えても崩れにくいかどうかは、EAを選ぶときの判断材料になる
ほかの検証ノウハウはEA・MT5ノウハウにまとめています。
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