有効DDと残高DDの違い — あなたが見ているドローダウンは実態の4分の1かもしれない
有効DDと残高DDの違い
EAの販売ページで「最大ドローダウン 3.2%」と書かれていたら、安全なEAだと思いますよね。しかしその数字が残高ベースだった場合、実際に口座が耐えたドローダウンは14%——つまり実態の約4分の1しか表示されていない、ということが起こります。
これは誤植でも詐欺でもありません。MT5には2種類のドローダウンがあり、どちらを見るかで数字が数倍変わるのです。
2つのドローダウン
MT5のストラテジーテスターは、ドローダウンを2つ報告します。
| 種類 | 何を測るか |
|---|---|
| 残高ドローダウン(Balance DD) | 取引が決済されたときの残高だけを見る |
| 有効ドローダウン(Equity DD) | 含み損を含めた有効証拠金をリアルタイムで見る |
決定的な違いはここです。残高DDは、ポジションを決済した瞬間しか動きません。 含み損を抱えて保有し続けている間は、残高DDは平然としています。一方、有効DDは、その含み損をリアルタイムで反映します。
なぜ数倍ずれるのか
具体例で考えます。あるEAが、含み損-1,400ドルのポジションを抱えているとします。しかしまだ決済していない。
- 残高DD:この時点では何も起きていない。決済していないから、残高は減っていない。数字はきれい。
- 有効DD:-1,400ドルの含み損が、そのまま有効証拠金に反映される。数字は悪化する。
そして、もしこのポジションが最終的にわずかな利益で決済されたら、残高DDにはこの-1,400ドルの局面が一度も記録されません。口座は実際には-1,400ドルの含み損に耐えたのに、残高ベースのレポートは「そんな瞬間はなかった」かのように見せる。
含み損を抱えて粘るタイプのEA——ナンピン・グリッド・マーチン——ほど、この2つのDDは大きくずれます。勝ちを小さく決済し、負けを含み損で抱え続けるEAは、美しい残高DDと、恐ろしい有効DDを同時に持てるのです。
だから「有効DD」を見る
- 販売ページのDDが残高ベースなら、有効DDはそれより悪いと仮定してください
- DDの種類が書いていなければ、有効DDを聞いてください。答えられない・出さないなら、それ自体が警告です
- 特にナンピン・グリッド系では、残高DDは実態を大幅に過小表示していると考えるべきです
私たち自身も過去に、あるビットコインEAの公称DDを「残高ベース3.23%」で掲載していたことがありました。実際の有効DDは約14%——4倍以上の乖離です。これに気づいてから、全製品のDDを有効証拠金ベースに統一し、乖離が大きい製品は正直に併記するようにしました。
なぜハードストップ型はDDが一致するのか
一方で、すべての取引にハードストップがあり、ナンピンをしないEAでは、残高DDと有効DDはほぼ一致します。含み損が損切りラインより先に伸びないので、決済時点の残高と、保有中の有効証拠金が大きく乖離しないからです。
私たちのトレンドEAは、たとえばUSDJPYで有効DD10.3%。ハードストップ・ノーグリッドなので、この10.3%は残高DDともほぼ同じ——どちらで測っても同じというのが、含み損を隠していない証拠になります。
自分で確かめる
無料EA(クローズドバーのDonchianブレイクアウト)でバックテストを走らせ、レポートの「残高ドローダウン」と「有効ドローダウン(証拠金ドローダウン)」の両方を見比べてみてください。ハードストップ型では両者が近い値になるはずです。これが「含み損を隠していないEA」の見え方です。
Donchian Trend Engine(無料EA)の詳細
全製品の有効DDベースの実データは、検証ページで公開しています。
まとめ
- MT5のDDには残高ベースと有効ベースの2種類がある
- 含み損を抱えるEAでは、残高DDが実態の数分の1に見える
- 見るべきは有効ドローダウン
- DDの種類が書いていない/答えられないEAは警告
- ハードストップ・ノーグリッドなら両DDはほぼ一致する
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